聖教を読む前に日本語のお勉強をして「念仏往生の願」の意味を知りましょう
七高僧で親鸞聖人が直接教えを聞かれた方は、法然上人です。親鸞聖人が法然上人にお遭いできなかったならば流転輪廻を繰り返してきた、と仰ったことは、真宗の関係者ならば誰でも知っていることでしょう。その法然上人が、往生のために念仏を勧められたことは、これまた真宗関係者だけでなく日本史を学んだなら誰でも知っている超常識です。
ここで、一つ質問です。
親鸞聖人は、法然上人が往生のために念仏を勧められたことを間違いだと否定されたと思いますか?
日本語が理解できるならば、そんなことはあり得ないでしょう。ところが、親鸞聖人が法然上人の教えの真髄である「往生のための念仏」を否定されたと言うのが親鸞会などです。日本語が判らないのか、他宗のスパイかと疑ってしまいます。
念のために、法然上人のお言葉を少しだけ紹介しておきます。『選択本願念仏集』には18願のことを著書名通り、「選択本願」と仰っただけではなく「念仏往生の願」と度々仰っています。その1つに
諸師の釈には別して十念往生の願といふ。善導独り総じて念仏往生の願といへり。
とありますが、実は善導大師は「念仏往生の願」とは直接仰っていませんので、「念仏往生の願」は、法然上人の造語になります。意味は説明するまでもなく、「念仏を称えたものを往生させる願」「念仏を称えて往生する願」です。
さて、この法然上人の造語である「念仏往生の願」を親鸞聖人は使われなかったのかと言えば、その逆で、頻繁に使われています。
『教行信証』信巻には、
この心すなはちこれ念仏往生の願より出でたり。
と敢えて、「念仏往生の願」と仰っています。別の言い方ではなく、ここは敢えて使われたとみるべきです。なぜなら信巻の前に、18願を「念仏を称えて往生する願」として繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し仰った行巻があるからです。
同じことで、『浄土文類聚鈔』には
浄信といふは、すなはち利他深広の信心なり。すなはちこれ念仏往生の願より出でたり。
とあります。この直前に18願を「念仏を称えて往生する願」として説明されたからです。
同様の理由で『三経往生文類』には
また真実信心あり。すなはち念仏往生の悲願にあらはれたり。
更には、『如来二種回向文』にも
真実信心といふは、念仏往生の悲願にあらはれたり。
とあります。
これ以外には、『浄土文類聚鈔』にもう一か所、『正像末和讃』にも一か所、『御消息』には多数あります。『御消息』には、「念仏往生の願」の意味が明確に判る箇所があります。
弥陀の本願と申すは、名号をとなへんものをば極楽へ迎へんと誓はせたまひたるを、ふかく信じてとなふるがめでたきことにて候ふなり。信心ありとも、名号をとなへざらんは詮なく候ふ。また一向名号をとなふとも、信心あさくは往生しがたく候ふ。されば、念仏往生とふかく信じて、しかも名号をとなへんずるは、疑なき報土の往生にてあるべく候ふなり。
「念仏往生の願」=「名号をとなへんものをば極楽へ迎へんと誓はせたまひたる」
なお、他力の信心とは、
名号をとなへんものをば極楽へ迎へんと誓はせたまひたるを、ふかく信じて
念仏往生とふかく信じて
です。他の『御消息』でも
この念仏往生の願を一向に信じてふたごころなきを、一向専修とは申すなり。
とある通り、「念仏を称えて往生する願を疑いなく信じること」が他力の信心です。
この単純明快な教えを捻くり回して、
「念仏を称えて往生する」と教えることは間違いだ!
と喚く者が真宗を名乗る資格があるのかと甚だ疑問に思います。
駄目押しで言うなら、覚如上人も蓮如上人も、「念仏往生の願」という言葉を使われています。親鸞聖人が多用されたのですから当然です。
真宗を名乗るのであれば、聖教を読む前にまずは日本語のお勉強をしましょう。
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コメント
やむわっかさんの説は、完全論破されました。が、本人はそのことに気がつかないでしょう。理由は、能力の問題です。
投稿: 西 | 2020年7月 4日 (土) 08時00分