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2010年2月 5日 (金)

よきひとびとの教え1

隆寛律師は、親鸞聖人が教義も信心も間違いのない方として、大変に尊敬された方です。『末灯鈔』に

さきにくだしまゐらせ候ひし『唯信鈔』・『自力他力』なんどのふみにて御覧候ふべし。それこそ、この世にとりてはよきひとびとにておはします。すでに往生をもしておはしますひとびとにて候へば、そのふみどもにかかれて候ふには、なにごともなにごともすぐべくも候はず。法然聖人の御をしへを、よくよく御こころえたるひとびとにておはしますに候ひき。さればこそ往生もめでたくしておはしまし候へ。

と親鸞聖人は書かれています。『唯信鈔』は聖覚法印著、『自力他力事』は隆寛律師著です。親鸞聖人は聖覚法印と隆寛律師の著書を御自身で書写されて関東の同行に拝読するようにと度々勧めておられます。お二人のことを「よきひとびと」と表現されていることからも、法然上人に次ぐ方々と大変に尊敬、信頼されていたことがわかります。

隆寛律師の著書である『弥陀本願義』に

念仏は易行なるが故に広く諸機に通ず。余の妙行は修し難きが故に、下根の類を隔つ。今は一切衆生をして平等に往生せしめんと欲する我が故に難を捨てて易を取りて本願となす。

と書かれてあります。法然上人の教えをよく心得た人と親鸞聖人が仰るように、法然上人の教えそのままです。

親鸞聖人の三願転入の文は、隆寛律師の著書の影響を受けられて書かれたという学説もあります。隆寛律師の弟子が書いた『広疑瑞決集』には、

先師律師つねにのたまはく、隆寛こそ十九願の機よ。其故は、本と円宗の菩提心を発して、聖道の出離を期せしほどに、末法に生をうけたる身、涯分をしる故に、聖道の出離の叶ふまじきいはれを心得て、浄土門に入れるなり。

とあります。隆寛律師が聖道門から浄土門へ入ることができたのは、19願の方便によるものと味わわれたのです。19願の修善を実践されたということではありません。法然上人があれだけ往生のための修善を否定されたのですから、浄土門の法然上人から諸善を勧められているわけがありません。

親鸞聖人の三願転入の文も同じです。

久しく万行諸善の仮門を出でて、永く双樹林下の往生を離る。

聖道門から浄土門に入られたことを隆寛律師と同じく19願で表現なされているのです。

この部分をもって19願を実践しなければならないと考えることは、幼稚な解釈といえます。もう少し勉強した方がよろしいかと思います。

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